世界的に有名な鎮江香醋は色が濃く、香ばしく甘みがあって味わい深く、ほどよい酸味を含んで渋みがなく、熟成させるほど口当たりがマイルドで旨みが増す中国黒酢です。
鎮江に伝わる説によると、その起源は中国で最初に酒を造り「酒の神」とも呼ばれる杜康の息子黒塔とされています。
時は周の時代…杜康が酒造りの技法を発明したその年、彼は家族とともに鎮江に移り住み、城外に酒屋を開いて店の裏手に構えた醸造所で酒を作り売っていました。彼の息子の黒塔は父親の店を手伝いながら一頭の黒い馬を飼っていました。
ある日黒塔は仕事を終えてから馬の資料(酒粕)が入った甕に水を入れた後酒を飲み、たいそう酔っ払ったまま馬小屋に戻りそのまま寝てしまいました。すると突然耳元で雷鳴が轟き、黒塔が目を覚ますと1人の白髪の老翁が立っていました。老翁は馬の飼料が入った大きな甕を指差し、「黒塔よ、おまえが仕込んだ調味品はもう二十一日が過ぎているぞ。これは今日酉の刻になれば味わうことができる。」と語りかけました。黒塔はどういうことか老翁に聞こうとしましたが、老翁の姿はすでに消えて見えなくなっていました。彼は大声で「仙人、仙人!」と叫びましたが、そこで目が覚め、彼は夢を見ていたことに気付きました。
黒塔は今しがた夢で見たことを思い出し、「この大甕にあるのは酒粕に水を加えただけのただの馬の飼料、どうしたら旨いものになるだろうか…?」と疑いつつ、ちょうど酒を飲んだ後で喉が渇いていたので半信半疑のまま甕の中の水を一杯飲んでみました。すると、口いっぱいに芳しい香りが広がり、甘酸っぱく、不思議と体がすっきりしたような気分になったのです。
黒塔はすぐに父親のもとへ行き、自分の見た夢と不思議な水のことを杜康に話しました。杜康は息子の話を不思議に思いながらも黒塔と一緒に馬小屋に行ってみると、その水はただの水とは違って黒く澄み、杜康が指につけて舐めてみると、やはり甘酸っぱくなんとも言えずおいしかったそうです。
杜康は改めて黒塔から夢の話を詳しく聞き、老翁が語ったという「二十一日」そして「酉の刻」について暫く考えていましたが、突然床に指で書いた文字を黒塔に見せながら言いました。
「二十一の酉の刻、この二つを合わせると<醋>という字になる。この飲み物は<醋>だ!」
それからというもの杜康親子は老翁から教わった醸造方法に基づいて、甕に酒粕と水を入れた後二十一日間経って醋ができるのを待ち、甕の底に穴をひとつ開けて滴り落ちてくる醋を集め近所の人々に配りました。
杜康親子がつくる醋は近所で評判の調味料となり、その評判は次第に鎮江城内外へと広がり、その後中国全土に知れ渡るほどの名醋となりました。
※杜康は酒造りの名手と言われ、一説には日本の酒造り職人<杜氏>の語源となったとされています。
江蘇省西南部にある鎮江市は揚子江沿いに位置し、三千余年の歴史を誇る文化的に有名な街です。周辺には京口三山(金山、北固山、焦山)などの美しい山々が広がり、豊かな自然と春夏秋冬がはっきりした気候に恵まれた江蘇省有数の観光都市です。そして、人々を鎮江にひきつけるもうひとつの魅力が、中国随一の酢と称される香醋です。中国では、鎮江といえば「香醋」というほど有名で、千年以上の歴史をもつ伝統食です。鎮江香醋は色、香り、酸味、純粋、濃さという五つの大きな特徴をもち、色が濃くて味はおいしく、香ばしくて甘みがあり、渋みのない酸味で、長期間保存するほどおいしくなるお酢として知られています。
中国最古の薬学書『神農本草経』には鎮江香醋の伝統や用法が書かれており、はじめは小規模生産されていた香醋が、その品質から「香醋といえば鎮江」と言われるまでになった経緯が書かれています。また『中国医学大典』にも、鎮江香醋は独特な心地よい風味があり、酢は「江蘇の鎮江のものを以ってもっとも良しとす」と記されているほど中国では有名です。
中国には四大名醋と呼ばれる、山西省太原の老陳醋、江蘇省鎮江の香醋、四川省闌中の保寧醋、福建省の永春の烏醋がありますが、その中でも鎮江の香醋は酢独特の刺激臭が少なく口あたりがマイルドと評判で、中国の国賓宴席用に指定されるなど中国国内はもとより世界中で高い評価を得ている名酢です。
[鎮江香醋ができるまで]
鎮江の香醋は、まずお酒を造ることから始まります。実はこのお酒造りが良い香醋を造るためにもっとも大切な工程で、良い酒にもみ殻を加え、ただ静かに甕の中でもみ殻に含まれている微生物等に任せてゆっくり発酵させることによって良質な香醋は造られます。
![]() 一、米発祥の地とされる揚子江のほとりで、契約農家から直送された最高級のもち米を良く洗い、水に浸してから大きなかまどで蒸し上げます。 |
![]() 二、蒸し上がったもち米に鎮江の天然水と特製酢麹を加え、丹精込めてかき混ぜた後、独特な静置発酵法により米酒を造ります。 |
![]() 三、出来上がった酒にもみ殻を加えて、幾日も温度を調整しながら繰り返しよくかき混ぜ、微生物に空気を送り込みます。この作業を繰り返すことにより甕の底までまんべんなく発酵がすすみ、伝統の色が出来上がります。 |
![]() 四、十分に発酵がすすみ褐色になったもみ殻を水に浸して香醋の成分をじっくりと抽出します。出来上がった香醋液を宜興甕※に移し替え、熟成させます。 |
※宜興甕
江蘇省の陶都「宜興」で作られた甕。天然の土を使って釉薬を施さずに焼いた甕は、時が経っても中に入れたものの味や香りが損なわれないといわれ、宜興甕の構造上、目には見えない小さな気孔が無数にあるために保温性も優れ、微生物が生息しやすい環境が整えられています。
酢と人類の関わりは大変古く、一説には一万年前とも言われています。酢は昔から人間の健康増進に効果的とされ、世界各国で食用されていますが、中でも有名なのが発酵熟成酢である中国の香醋です。香醋には必須アミノ酸を含む天然のアミノ酸類が豊富に含まれており、その含有量は黒酢の3倍、米酢の10倍とも言われています。それらの有機酸は私たちの生体エネルギーを作り出す「クエン酸サイクル」をスムーズに回して疲労物質である乳酸を炭酸ガスと水に分解し、細胞内の代謝を活発にして身体全体のバランスを整えてくれる大切な栄養素です。医食同源の考え方が脈々と受け継がれる中国で愛され続ける香醋は、まさに健康の源と言える食品なのです。
香醋玉は、宜興甕仕込みによって微生物たちの神秘的ともいえる有用な働きの下、熟成され造り上げられた香醋原液を濃縮・粉末化して日本国内でソフトカプセルに包み、最後にクロレラサプライ自社工場で品質チェックした後、お客様のもとにお届けします。お酢が苦手な方にも毎日手軽にお飲みいただけます。